釣りの道具・釣り餌

タナゴ釣りの餌 卵黄(冷凍・加熱)

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私のタナゴ釣りでは、エサとして春から秋は黄身練り(黄身練りについてはこちら)、冬は温泉卵を使っています(温泉卵についてはこちら)。

温泉卵の黄身は吸い込みがよく、冬の食い渋り時には頼りになりますが、作る際、仕上がりが安定しないのが難点。しかも失敗して固くなりすぎると最初からやり直し。卵が無駄になってしまいます。

何度も失敗したら、卵と時間がもったいない。黄身の作り方を見直すことにしました。

冷凍卵黄

以前購入した「これ一冊でわかるタナゴ釣り」(つり人社)に、黄身練りのバリエーションとして、卵を冷凍する「冷玉練り」が掲載されていました。

卵を冷凍すると黄身が固まる事については、この本で初めて知りました。とりあえずどんな具合か、試してみることにします。

まずは新鮮な生卵を入手。エサは黄身そのものなので、卵の鮮度は重要です。卵は凍ると膨張して割れるので、周囲を汚さないよう、チャック付袋に入れてから冷凍室へ。

そのまま4日間ほど冷凍します。

冷凍する日数については、文献(凍結による卵黄の流動性の変化について)を参考にしました。この文献によると、解凍後の黄身の粘度は、マイナス20℃で冷凍した場合、冷凍開始40時間後までは急激に増加し、その後横ばいになるとこのこと。

黄身の粘度が上がる主な原因は、蛋白質の変性。冷凍する場合は、黄身の成分のうち、LDL(低密度リポ蛋白質)が変性するとのことです。逆に言えば、変性しない成分もあって、固茹でみたいにはならない、ということなのかも。

家庭用冷蔵庫の冷凍室を使用する場合、温度は-18℃~-19℃ほど。文献と温度が少し違うことや、文献では黄身だけを冷凍していること、食材の出し入れで冷凍室を開閉することを踏まえて、冷凍する日数を、文献よりも長めの4日間としました。日曜日の夜に冷凍を始めれば、解凍も含めて次の土曜日の朝に間に合うイメージです。

4日後、冷凍室から卵を取り出します。

流水にさらしながら殻剥き。スルッと簡単に剥けます。剥いた卵を皿などの容器に移し、ラップをかけて解凍。

解凍は冷蔵庫内でも室温でも、どちらでも大差ないみたい。

解凍が済んだら黄身を取り出して・・・

卵黄膜とカラザをキッチンペーパーや爪楊枝などを使って取り除きます。

あとはヘラなどで適当にこねて完成。黄身練りと同じように、ポンプに詰めて使用します。

私は冷蔵庫に保管し、何回か使ったあと、10日ほどで廃棄していますが、小分けして再度冷凍する方もいるようです。

小分けしてから冷凍してみました

文献(凍結による卵黄の流動性の変化について)では、はじめに黄身だけを取り出して小分けし、様々な条件で冷凍しています。

エサを作る場合でも、黄身を小分けしてから冷凍した方が、手間と無駄を省けるかも。

小分け用の容器はとりあえず、セリアの「さかなタレビン」を選びました。見た目も釣りエサにぴったりです。税込み110円で20個入り。これなら使い捨てしてもお財布にやさしい・・・でも釣り場で捨てちゃ、ダメですよ。

いつもどおり卵を割って黄身を取り出し、カラザと卵黄膜を除去。

タレビンを凹ませて卵黄を吸い上げます。

1回吸い上げて容器半分、爪楊枝でエア抜きして再度凹ませ、2回目を吸い上げて1個完了。黄身2つで3mlのタレビン10個。これをチャック付袋に入れて3~4日冷凍。黄身だけなら、それほど膨張しないみたい。容器が割れなくてよかった・・・。

使う分だけ取り出して解凍。ネックストラップにダブルクリップを付け、タレビンの尻尾部分を挟んで、首からぶら下げてみました。

容器を押して卵黄をハリに付け、ポイントに投入。

ちゃんとタナゴが釣れました。

この方法なら、エサ作り・小分け・保存・使用がスムーズにできて便利ですね。

今回は100均のタレビンを使いましたが、3mlでは少し小さいかも。また、容器が少し固くてエサを出し難いようにも感じました。後日ネット通販で買った中央化学(株)のタレビンは4ml。こちらの方が柔らかくて使いやすく感じました。

タレビンは以下のリンクからもご購入いただけます。

Amazon:中央化学 タレビン4ml 200個入

価格は200個入りで1,100円ぐらい(送料別)。単価はセリアのものとあまり変わりません。

上がセリアのタレビン 下が中央化学のタレビン

容器については、充填のしやすさや釣り方、現場で使う量などのバランスを踏まえて、使う方のお好みで選んでいただければと思います。

もちろんそれ以前に、卵のまま冷凍するのも、黄身を小分けしてから冷凍するのも、どちらがよいかは、本人次第です。

冷凍卵黄の使用感は?

冷凍卵黄は白く濁った色をしていて、いつも使っている温泉卵よりも柔らかく、あまり粘らない感じ。吸い込みは良いのですが、その分餌持ちは悪いです。温泉卵と同様、冬季限定のエサになります。

温泉卵への反応が悪い時に、冷凍卵黄に替えるとアタリが出ることがあります。また、ボソッと大きめにハリ付けすると、フナがよく吸い込んでくれたりもします。温泉卵と同じ卵黄100%ですが、エサとしては別モノと考えてもよさそうです。

冷凍卵黄で釣ったフナ

冷凍卵黄は作り方が簡単。黄身が固くなりすぎないので、じっくりと冷凍すれば、まず失敗しません。また、小分けした後に冷凍できることもメリットです。黄身練りや温泉卵に興味がある方は、まず冷凍卵黄から試してみてもよいと思います。

冷凍卵黄はなかなかよいエサみたい。温泉卵以上に柔らかいので、使える状況は、冬の止水域などに限られますけど。

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加熱卵黄

次は加熱方法の見直し。エサとして使うのは黄身だけ、そもそも白身を加熱する必要はありません。黄身だけを加熱するのであれば、温泉卵のように白身の凝固温度に縛られず、80℃以上で加熱できます。

黄身の粘度が上がる主な原因は蛋白質の変性。冷凍の場合はLDL(低密度リポ蛋白質)が変性するとのことですが、加熱する場合は、65℃以上でLDLが、80℃以上でHDL(高密度リポ蛋白質)が変性するそうです。また、黄身の加熱による粘度上昇に関しては、HDLの影響が大きいとのことです。(参考文献:鶏卵卵黄蛋白質成分の加熱変化について

80℃以上に加熱すれば、冷凍卵黄よりも固めに練ることもできそう。黄身をどのように加熱すれば、簡単で失敗が少ないのか。まずは卵を割って黄身だけを取り出し、卵黄膜とカラザを取り除いて準備完了です。

基本の「ドライヤー」

一番スタンダードな加熱方法。この方法は「これ一冊でわかるタナゴ釣り」(つり人社)に「熱風練り」として紹介されています。私自身も、温泉卵が柔らかく仕上がってしまった時には、ドライヤーで調整します。

ドライヤーの風の温度は、100℃から120℃ほど(吹き出し口から3cm)。黄身を加熱する際には、吹き出し口から10cmから15cmほど離して柔らかな風を当てながら、爪楊枝などで練り上げます。お好みの固さに調節できるので、慣れさえすれば、使いやすいエサに仕上がります。

ドライヤーで片手が塞がるのが難点。黄身を練る時、手で容器を押さえられないので、私は、少し作業し難く感じます。手が3本欲しい。「ドライヤースタンド」を使ってもよいかもしれませんが、わざわざ用意するのも面倒です。

「湯せん」してみました

緩やかに加熱する方法として、湯せんがあります。お菓子作りなどでは、湯せんの温度は50℃~60℃。一方、黄身の蛋白質を変性・凝固させるためには、最低でも65℃以上の加熱が必要です。

電気ポットで沸かした熱湯(98℃で保温)400mlを大きめの器に移し、ステンレス製のボウルに卵1個分の黄身を入れて湯せんします。

ボウルにこびり付かないように、シリコン製のヘラで混ぜながらしばらく練ると・・・

ねっとりと仕上がりました。

作業中、お湯の温度は徐々に下がります。ポットの温度設定やお湯の量、容器の素材、黄身の量などのバランスによっては、黄身が練り上がるまでに、お湯の交換・補充が必要になるかもしれません。一方、黄身は作業の後半、急激に粘度を増すので、お湯の温度が程よく下がることで、エサの固さを調節しやすくなる場合もあります。

卵1個分を手早く練るのであれば、お湯を交換・補充しなくても大丈夫そう。私にとっては、ドライヤーよりも湯せんの方が、スムーズに黄身を加熱することができました。

加熱卵黄の使用感は?

加熱卵黄は、柔らかめから固めまで、練り具合を幅広く調節できます。柔らかめに練っても、冷凍卵黄より粘り気があってエサ持ちがよい印象。冷凍卵黄がお手軽に一定の柔らかさを得られるのに対して、加熱卵黄はお好みの固さにカスタマイズが可能です。

固すぎると、卵黄のメリットである「吸い込みの良さ」を生かせない気もしますが、もしかしたら餌持ちが良くなって、冬以外にも対応できるかもしれません。まだ検証不十分ですけど。

加熱卵黄も冷凍卵黄も、タナゴがよく釣れるのは同じ。グルテンよりもオイカワが掛かりにくいように感じます。また黄身練りよりも吸い込みがよくて、水温が下がる冬には特に有用です。

粉を混ぜる黄身練りに加えて、黄身100%の加熱卵黄と冷凍卵黄。季節によって使い分けたり、場合によっては併用したりすることで、対応できるシチュエーションが広がります。

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